2009/12/29

[師走に思う]路上系社長が、再び路上生活へ…

年の瀬に、長くはなるが、ある人物を取り上げた新聞記事について。

その記事の主人公は、
今から思えば、僕のキャリアにも大きな影響を与えた人物だった。




【1】
その人物は、前橋靖という元青年実業家。
彼は、エム・クルーという会社の創業者であり経営者だった。
エム・クルーの事業内容を一言でいうなら、
ホームレスやニート達に、宿と仕事を与えるというビジネス。

都内でレストボックスという簡易宿泊施設を運営し、
宿泊者に対して日雇いの仕事を提供していた。

利用者の大半は訳あり。
前橋氏は、そんな彼らが利用しやすいシステムを作りだした。

レストボックスでの生活の中で貯金を作り、
一般の生活に復帰していく者も多くいたようだ。

また、前橋氏自身も、かつてプロサーファーの夢破れ、
末に路上生活を経験した過去を持っていた。
いわば破天荒で、かつ社会的弱者の気持ちがわかるユニークな人物だった。

そんな彼が、今、再び、路上生活を送っている…。
さて、その理由は…。






【2】
僕はある時、前橋氏の事を知った。
そして、その時の僕は、
今から思えば、1つのターニングポイントを迎えていた。

僕は、庶民的な家庭に育ちながらも、
関西圏の美大に通わせてもらい、CMプロダクションなどの勤務を経て、
フリーディレクターという、少し浮世離れした生活を歩んでいた。

当時は、ビジュアル的に…とか、今風で言うと…とか、その他諸々。
そんなことにしか興味がなかった時代。

突然、かねてからの知り合いだったプロデューサーから1本の電話をもらい、
ある、経済専門チャンネルへ出向いた。

僕を呼び出したプロデューサーは、
以前、団塊世代向けのトレンド番組を一緒に作っていたことがあった仲。

 「今回は、どんなミッションや…」

そんないつもと変わらぬ軽い気持ちで出向いた先に、転機が待ち構えていた。

実は、その兄貴分も、
それまでのキャリアとは畑違いだった異動先に戸惑いがあったようで、
僕を巻き込んで、ビジュアル志向の強い、
これまでとは毛色の違う経済番組を作ろうと画策していたのだった。

そして、その悪魔の呼び出しとほぼ同じタイミングで提供されたのが、
最初のネタ、先程の「前橋氏が展開するエム・クルー」だった。

果たして、自分に何が出来るのか…
それまで主なフィールドだったプロモーション的な仕事とは全くちがった、
ジャーナリスティックな要素をもったコンテンツ作り。

自分なりに試行錯誤もした。
取材対象のエム・クルーや前橋氏の協力もあった。
そして、僕が手掛けた初めての経済番組は完成した。

僕が取材した当時のエム・クルーや前橋氏は、
既に、NHKや雑誌などが取り上げてはいたものの、
そこまで有名人でもなかった気がする。

事実、僕が番組を作ったあとにも、
前橋氏のもとには、海外展開のチャンスが舞い込んだり、
サクセスストリーを描いた自伝的書籍も発売されたりした。

前橋氏とエム・クルーは、
ソーシャルビジネスの成功例として、世間の注目を集めていった。
そして、年商14億円の企業にまで成長した。



僕は、エム・クルー前橋氏を取材した番組でそれなりの評価を得た。
それまで、経済とか、ジャーナリズムとか、一切無縁だった僕が、
新しい引き出しを得ることに成功した。

そして、その時の評価がキッカケで、
これまで、オファーがくる余地もなかった分野の仕事が多く舞い込んだ。
年商は、エムクルーのように14億円にもならないけども、
自分が食っていくだけの新しい食い扶持を確実にものにした。

当時の評価から始まった新しいビジネスフィールドは、
今でも、自分の仕事の大半を占めている。
もちろん、かねてからのプロモーション系の仕事もやってはいるのだが…。



【3】
そして、再び前橋氏の話し。

12月28日の朝日新聞を見て、前橋氏の会社が倒産し、
彼が再び路上生活をしている事を知った。

エム・クルーのビジネスには、落ち度があった。
違法な人材派遣や相場よりも高い中間マージンが明るみになったのだ。

彼のビジネスの落ち度を告発したのは、
皮肉にも、派遣村の仕掛人として知られている湯浅氏だった。
湯浅氏は、実際にエム・クルーを利用し、違法なビジネスモデルに意義を唱えた。



かつて、社会起業家として注目を集めた前橋氏だったが、
社会運動家の湯浅氏は、そのビジネスモデルの違法性に気付いたのだ。



【4】
再び、僕の話し。

今回の前橋氏の転落を知り、僕の中では大きな2つの思いが去来する。



1つ目は、僕のツメの甘さ。

前橋氏との出会いで、僕は、経済だとか、ジャーナリズムだとか…
それまで経験しなかった新しいビジネスフィールドを得た。

しかし、湯浅氏の指摘は、当時の僕にもできたのではないか…

エム・クルーが、年商14億を稼ぎだす成長をする前に、
僕も含めた、彼を取材したジャーナリストたちは、
エム・クルーが手掛けるビジネスを「ヨイショ」した。

湯浅氏は、実際に、エムクルーを利用した。



2つめの思い。
この仕事をしていると、いつか再会するような気がする、
そんな気配を持った人がいる。

僕にとって前橋氏もその1人…。
間違いなく魅力的な人だった…。

あの時の取材で、僕が評価を得ることができたのは、
前橋氏の魅力に乗っかれたからだろう。

それ位、僕は軽かった…。



今は、野宿暮らしをしている前橋氏が、
いつか、再起を図ったときに、再び、取材したいと思う。

その時までに、僕は、思ったことをストレートに伝えたり、
物ごとの本質を見る力を養いたい。



一度は、路上生活から、エム・クルーを立ち上げた前橋氏が、
もう一度、路上生活から這い出して欲しいと、真剣に思っている。



長くはなってしまったが、2009年12月。
僕は、
少し寒いけど、屋根があって、Macもある部屋で、
もう一度、初心にもどって、やり直したいと思っている。

9 件のコメント:

  1. これも偽装です。
    偽装社長廃業。。
    彼は普通に別の会社で社長しています。
    メディアは恐ろしいですね。

    返信削除
  2. なるほど……。

    さしずめ共謀者もいる訳ですね…。
    もしも本当ならば、嘘の上塗りですね。

    返信削除
  3. >匿名さん
    本当ですか?この会社の事ですか?
    http://doda.jp/z/job/3000204069/index.html
    >MICさん
    裏を取ってから報道してもらいたいものです、被害者が拡がらないよう......。

    返信削除
  4. アクシスパートナーズの役員とエムクルーは全て同一人物ですよ。
    ですのでこの記事は明らかな嘘になります。

    朝日新聞の記者が共謀しているのか、または騙されたのか(それでも裏を取っていない時点で記者として失格ですが)どちらかになります。

    返信削除
  5. あんたまた騙されていますよ

    池袋に行けば分かるがいつも大声あげて社員の悪口言いまくっています。

    外見の柄は悪いし、自己顕示欲の塊って感じの内容をよくいってます。

    たぶんあなたが読んだ新聞私も読みましたが車で日本全国放浪しているなんて全くのウソ。

    その記事が書かれてから4日連続で池袋で会いました。

    マスコミがなぜ彼を叩いたのか、そして最近は叩かれなくなったのか答えは簡単です。

    要は 「 流 行 」なんでしょ

    返信削除
  6. そうですね。
    アクシスパートナーズという会社で社長してますね。
    HPもあって、路上生活してるの明るみにしてるし。
    同一人物ですね。

    新聞社がダメですね。

    返信削除
  7. 前橋靖は
    両親とは高校時代から絶縁してるし
    友人もいない
    昔から変な奴だよ
    感情の起伏が激しいのは変わらないな
    虚栄心の塊

    返信削除
  8. 彼、自分は仕事せずに遊んでますねー。
    http://www.maebashiosamu.com/
    昔も今も変わらんのか?!

    しかも、怪しい関係会社をポコポコと
    立ち上げているみたいだな。

    返信削除
  9. しかし、随分前の投稿に関らず、
    この記事には、色んなコメントが寄せられて、
    色んな意味で関心しています・・

    当時は取材者としての責任を感じましたが、
    だからと言って、彼の振る舞いを責める気もしません。

    事業が上手くいっているなら、
    それは氏の商才でしょうし。

    ただ、二度と、この手の浅はかな経営者に取材しないような
    処方箋もできたような・・・

    高い、授業料だったと思っております。

    返信削除

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